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【制作ディレクターチーム】そこにできないものはない。にじさんじだからできる番組を作るディレクターの信念【従業員インタビュー】

個性豊かなライバーを有する「にじさんじ」グループ。マルチに活躍するライバーが輝く場所の一つとして、テレビさながらの企画や編集がされた公式番組がある。

そんな公式番組を生み出し、全世界に発信している張本人こそ、ANYCOLOR株式会社(以下:ANYCOLOR)で働く制作ディレクターチームだ。

今回は『にじヌ→ン』や『ゲームる?ゲームる!』といった人気番組のディレクター2名と、『ヤシロ&ササキのレバガチャダイパン』『木10!ろふまお塾』の番組を立ち上げたプロデューサーにインタビューを実施。

「面白いと思ったものは、どんなことでも実現する」と語る制作ディレクターチームは、日々何を感じ、どのように番組制作と向き合っているのかについて伝えていきたい。

【取材を受けた人】
P:YouTube戦略部 副部長/制作プロデューサー
テレビ番組やアニメ制作、キャラクターIPを扱う会社へ就職。
その後広告映像ベンチャーのプロデューサー、マンガアプリの営業プランナーなどを経てVTuber業界へ転職。2019年、現ANYCOLORに入社。
『ヤシロ&ササキのレバガチャダイパン』『木10!ろふまお塾』などの番組立ち上げや、
『にじさんじ甲子園』『にじさんじフェス2022 ドキュメンタリー』『NIJIBAN』などの番組プロデューサーを担当。
現在は番組制作ディレクターのマネジメントにも携わっている。
 
AP:YouTube戦略部 制作アシスタントプロデューサー/制作ディレクター
テレビ局に就職し、ディレクターとして音楽番組やバラエティ番組の制作に携わったのち、2022年にANYCOLORに転職。
ディレクターとアシスタントプロデューサーとして『ゲームる?ゲームる!』や『NIJIBAN』などのレギュラー番組や特番を担当中。
 
D:YouTube戦略部 制作ディレクター 
2019年、現ANYCOLORにインターンシップで働き始め、2021年に新卒入社。
入社後はアシスタントディレクターとして『ヤシロ&ササキのレバガチャダイパン』『にじさんじのB級バラエティ(仮)』などの番組制作に携わる。
現在はディレクターとして『ゲームる?ゲームる!』『にじクイ』『にじヌ→ン』などのレギュラー番組や特番を担当。

「自分がそこで働く理由」を求めた先に、ANYCOLORがあった

 ーー早速ですが、みなさんがANYCOLORの制作ディレクターチームに入社した理由を教えてください。

P:
ANYCOLORに入る前は、テレビ番組の制作に携わっていました。

番組制作自体にはやりがいや楽しみを感じていたものの、当時は世帯視聴率が番組の反響を示す指標になっていたこともあり、なかなか自分の仕事に響かないような遠い数字だと感じていたんです。

そんな風にモヤモヤとしている中、YouTubeであれば視聴者の反応やコメントが分かり、視聴数がダイレクトに分かるという点でネット番組に興味を持ち始めたのがきっかけです。

中でもANYCOLORというか、にじさんじに強い興味を持ったのは、「一番面白いと思った人たちと働きたい」と思ったからです。

ワンちゃんや異世界の悪魔、会社員などタレントの層があまりにも厚かったので、こうした人たちと働かなければ一生悔いが残ると確信したんですよね。

その思いを持ってANYCOLORに応募しました。
応募当時は『にじさんじ格付けチェック』の第一回が放映された時だったと思うんですけど、面接で「私ならこうやって面白くできます!」「あそこの演出をこうしていけばもっと良くなります!」って調子乗って話してたら、あれよあれよという間に今こうして働くことになりました笑

AP:
私は新卒でテレビ局に入社し、ディレクターとして番組制作をしていました。中でも音楽番組やバラエティ番組の部署で働いていたのですが、「ここでずっとやっていけるのだろうか」と感じることが増えていました。

Pさんも言っていましたが、視聴率がどれだけ良くても悪くても、自分がやってやったぞという実感を持てなかったのが転職を考えたきっかけでした。

加えて、テレビ局は組織が大きいこともあって、上司や他の部署の顔色を伺いながら働く必要があり、本当に自分が作りたいものに挑戦できない環境というのも、転職意思を強めた要因ですね。

そのような中で世はコロナ禍に突入し、ステイホームになった時に初めてにじさんじライバーの配信を見たんです。

実はそれまでVTuberについての知識は全くなく、まさか自分がVTuberにハマるわけがないとすら思っていました。

私は当時『ライフ イズ ストレンジ』というゲームにハマってプレイしていたのですが、「他の人はどういう選択肢でプレイしているんだろう」と感じて視聴したのが、月ノ美兎さんの配信でした。

そこからVTuberに対する価値観がガラッと変わり、にじさんじのコンテンツを観るようになりました。その時ちょうどANYCOLORのディレクターの求人を見つけ、テレビ局でモヤモヤを感じていたこともあり転職したという流れです。

ーー まさにライフ イズ ストレンジ!

一同:


D:
私はお二人とは異なり、大学生の時の長期インターンからそのままANYCOLORに入社しました。

就活では芸能マネージャーを志望するほどエンタメ業界に関わりたいと思っていたのですが、入社するハードルが非常に高いという現実がありました。

そうした中、エンタメ関係での長期学生インターンがないか探していたところ、ANYCOLORが募集をしていたので応募したのが、私とANYCOLOR、ひいてはVTuberという存在を初めて知ったきっかけです。

インターンでは番組制作に携わり、のめり込むように「もっと番組制作について学んでいきたい!」と思い、そのまま制作ディレクターとして入社しました。

ーー実際にインターンから入社してみて、どうですか?

D:
働きやすいです笑

P:
本当に?笑

D:
本当です!PさんやAPさんを始め、みなさん優しいので、なんだったら「こんなにぬくぬくしてていいのかな?」とすら思います。

P:
実は当初、Dさんについては、元々インターンで番組ディレクターを経験した後にタレントマネージャーの部署に行く予定だったんです。

でも蓋を開けてみたら本人の番組制作能力が非常に高く、かつ今の仕事を楽しんでくれているので、我々のチームに残ってもらえている感じです。

あえてプロデューサーという上司目線で言いますが、Dさんは社会人3年目とは思えないほどディレクターとして活躍してもらえています。どんどん能力を身につけて、面白い番組を作っていってもらえていると思います。

D:
ありがとうございます…!

自分と同世代でテレビ業界に行った人よりも幅広い経験を積ませてもらえていると思っています。

新卒で入社した会社がANYCOLORでよかったと、心から感じています。

ーー図らずも評価面談のようになってしまいました

自分で手を挙げればあとはアクセルベタ踏み。テレビ局とは全く違うディレクター像

ーーPさんはプロデューサーという立場とのことですが、どんな仕事をしているのでしょうか?

P:
二つの軸で仕事をしています。

まず一つが、番組制作のプロデューサー業です。
にじさんじの番組全体のプロデューサーとして、番組の立ち上げから全体方針の策定、大型特番の企画立案と実行をしています。

二つ目が、番組の制作に当たってのアサイン業務です。
我々の部署における責任者をしていますので、社内外からくる番組制作の依頼に対し、アシスタントプロデューサーやディレクターをアサインしています。

ーー聞く限り、テレビ局のプロデューサー業と近しいと感じました

P:
そうですね、イメージとしては近いと思います。

AP:
私は前職でテレビ局にいましたが、確かに近いと思います。だからこそ「プロデューサー」や「ディレクター」というテレビ局と同じ名前の肩書を使っているんじゃないかと思います。

ただ、同じなのはあくまでもイメージだけで、実態はテレビ局よりかなり自由度が高いです。

テレビ局だとプロデューサーの数がそもそも多いので、同じプロデューサーであっても立場が色々あります。にじさんじだと番組プロデューサー自体がそこまで多くないので、Pさんはテレビ局でいう、「上の立場のプロデューサー」という印象があります。

自分の肩書きはAP(アシスタントプロデューサー)ですが、テレビ局のAPというよりプロデューサーの方が業務内容は近くて、Pさんは「統括プロデューサー」的な業務だと考えてもらえると想像しやすいかもしれません。

ーーなるほど。APさんやDさんはどういった仕事をしているのでしょうか?

AP:
具体的には、担当番組や特番、大会モノなど番組全体のクオリティ担保を担っています。あとは、各ディレクターへの業務割り振りや、制作進行のチェック・調整なんかも行っています。

また、アシスタントプロデューサーでありながら、ディレクター業務もやっていたりするので、結局番組作りに関わる全てをやっているという感じでしょうか。

『ゲームる?ゲームる!』では、ゲストやゲームの確認、演出、台本準備をした上で撮影を行います、撮影後は制作会社とともに編集作業を行い、完成後にYouTubeにアップするまでの一連の業務を責任持ってやっています。


D:
今はディレクターとして、担当番組の制作進行に携わっています。

APさんが言った通りではありますが、企画の立案から収録までにおける社内外の関係者との連絡を始め、収録現場にてディレクションの全体を任せられています。

番組に出演するライバーをアサインするのもディレクターの仕事ですので、社内に対してはライバーのマネージャーとやり取りすることが多いです。

社外の関係者としては、編集業務を外部委託する場合には制作会社が出てきますし、『ゲームる?ゲームる!』であれば取り上げるゲームのゲーム会社ともやり取りをします。

ーー結構色々な人との連絡調整も業務としてありますね。

ーー先ほど「テレビ業界と大枠のイメージは同じ」という話がありましたが、具体的にANYCOLORのプロデューサー/ディレクター業はどんな点でやりがいや難しさに違いがありますか?
P:
あえて偉そうに言うと、テレビ業界と圧倒的に異なるのが、ディレクター含め裁量権が非常に大きいことが挙げられます。

普通のテレビ局の制作だと、もっと上の立場の人から番組企画の指示が降りてくることが多いですが、ANYCOLORではディレクターやライバーから企画が上がってくることが普通です。

上がってきた企画に対し、プロデューサーとしてフラットにレビューをし、良いものは積極的に制作に乗せています。ネタ出しや企画、ライバーのアサインまで全てボトムアップのように進められるというのが、テレビ局の制作と違って良いポイントだと思っています。

また明確に異なるポイントとして、スピード感の速さも挙げられます。

「これやりたい」と言葉を発してから世にでるまでがテレビに対して段違いに速いです。加えて、公開した番組に対する反響がYouTubeのアナリティクスですぐに分かるというのも違いますね。

「狙いがハマったか」「番組のどんな点にリスナーは反応したのか」をすぐに収集できるので、PDCAが早く回せます。テレビ局だと、そうしたスピード感で仕事を進めるのは難しいので、もっとやきもきするんじゃないかな。

難しさという点での違いで言えば、同じくスピード感の速さだと思います。

ベンチャー企業でもそうですが、自分で声を上げてアクセルをベタ踏みで踏まないと仕事って面白くないじゃないですか。人に言われたことだけをやっていても楽しさは感じないと思います。

制作ディレクターチームの良いところは、良い意味で自分のやりたいように進められるという点です。そのため、おっとりした人や受け身の人だと大変かもしれませんね。

AP:
Pさんに全部言われてしまった感がありますが話しますね笑

自分が大きなテレビ局からANYCOLORに来て感じた、大きな違いの一つがやはり裁量でした。
テレビ局で働いていると、様々なしがらみから「番組の面白い部分の核」を追求できないと感じることが多かったです。

ANYCOLORであれば、一人の裁量で進められる点がとんでもなく多いです。

仕事がやりやすいという意味で違う点といえば、「番組出演者がある意味社内の人」というのもあります。出演者のアサイン可否がすぐにライバーのマネージャーに確認できますので、番組制作が早く進められます。

テレビ局の時には歌謡番組を担当していたのですが、大御所歌手一人をアサインしようものなら、複数の関係者を経由してやっとタレントに意思確認ができるレベルですので、時間もかかりますし制作側の意図がしっかり本人に届かないなんてこともザラにありました…笑

逆に大変なことで言うと、テレビってそれこそ老若男女あらゆる人が視聴しますが、にじさんじはVTuber文化を知っている人に基本的に見ていただいています。そのため、VTuber文化を知らない人に番組を届けようとすること自体に難しさというか、課題感を感じています。

既存のリスナー以外にどう面白さを届けるか。という点に対して、もっと頑張っていきたいなと思っています。

ーーDさんは新卒でANYCOLORに入社して3年目ですが、ぶっちゃけ入社して良かったですか?

D:
はい、心から入社して良かったと思っています。

お二人が言っている裁量権の大きさについては、新卒で入社した身の自分に取って非常に恩恵が大きいと思っています。

APさんを始め、他のテレビ局から来た人からは「そんなすぐにADからディレクターになれないよ」という話をよく聞きます。どうしてもテレビ局だと規模が大きいのでポストが詰まっていて、組織としての新陳代謝が悪いらしいです。

その点、ANYCOLORはやりたいことをのびのびとやらせてくれる、いい会社だなと本当に思います。

ディレクター業務をやらせてもらえるようになってから、企画を考える余裕も出てきました。自分で考えた企画に対してAPさんとかにフィードバックをもらいに行った時、「いいね、やってみたら?」と返してもらえる環境はとてもありがたいです。

もちろん企画自体にダメ出しをもらうこともあるのですが、ただダメ出しをするだけではなく、「ここをこうしたらもっと良くなりそう」とか、具体的に細かくレビューをしてくれるので、成長にも繋がっていると思います。

AP:
良い・悪いだけではなくて具体的なフィードバックを戻すのはきっと、ANYCOLORに転職してきた全員が、前職で感じていた働きづらいと感じる思いを部下にさせたくないと思っているからじゃないですかね。

言われて嫌だと感じるような理不尽なことをさせない。というのは制作ディレクターチームだけでなく、ANYCOLOR全体の社風だと思います。

人気番組のウラバナシから垣間見る、制作ディレクターチームの働く信念

ーーみなさんはにじさんじでも人気の番組を担当していますが、具体的に思い出に残っているエピソードを一つ、番組名とともに教えてください

P:
やっぱり私は古くからいますので、『ヤシロ&ササキのレバガチャダイパン』ですね。


入社してすぐに3Dモデル×ゲームの番組を作ることになりまして、一人で組み立てていろんな人に迷惑をかけながら作った番組なので思い出深いです。

初回収録の現場には、社内に私しかテレビ番組制作経験者がいなく、外部の業者さんもいましたが、3DモデルやVTuberに対する理解も浅い状態。加えてライバーはライバーで初めての経験で不安を感じていました。

そんな中、初回から4本ぶっ続けで収録しました笑

終わったあとはもうライバーもスタッフも全員ヘロヘロで。スタジオスタッフからは「Pさん、今日が人生で一番つらかった日です」なんて言われちゃいました(苦笑)

…ですが、初回の配信のリスナーの反応を見て、ライバー含め関係者全員が「やってよかった!」と声を上げていた瞬間は、本当に心にクるものがありました。

ーー『ヤシロ&ササキのレバガチャダイパン』から、にじさんじの公式番組が加速していった気もします

P:
そうですね。まさに『ヤシロ&ササキのレバガチャダイパン』がにじさんじの番組文化という先駆けになれたんじゃないかなって思っています。
そこを境に、他のライバーも「にじさんじの公式番組に出たい!」という声をもらえるようになりました。

実は『ヤシロ&ササキのレバガチャダイパン』は社内外スタッフ+MCライバーの2人(社、笹木)で毎週企画会議をしていたんです。

スタッフだけでなく、基本的にライバーとも一緒に会話しながら番組を作っていくという文化を今に残せているという意味でも、にじさんじにとっていい番組だったと思います。

……一つって言われているんですけど、もう一ついいですか?笑

ーー大丈夫です、ぜひ聞かせてください

P:
もう一つ思い出に残っているのは、『木10!ろふまお塾』の立ち上げです。ROF-MAOメンバーを誰にするかという、結成の段階から参加させていただきました。

で、結成のタイミングでご存知の方はご存知だと思うんですが、無人島にメンバーとともに行って番組を撮影するという……笑


今思えば無人島生活が今のろふまお塾の結束力に繋がっているんだと思います。無人島からの帰りの飛行機では、「やりきったね〜」とROF-MAOメンバー全員としみじみ会話したことを覚えています。

もちろん今の『木10!ろふまお塾』も毎週企画会議をライバー含めてしていますので、スタッフともに一体感を持ってガツガツと番組が作れていてやりがいを感じています。

えー……無人島大変でした!楽しんでいただいたリスナーの皆様、ありがとうございました!笑

AP:
ろふまお塾の無人島はリスナーとして見ていたのですが、「VTuberってこんなことできるの⁉️」と感じ、ANYCOLORに入社する決め手になったかもしれません。今思うと。

P:
そうですよね。「これだけできるんだったら、こういうのもできるじゃん!」ってなりますし、ぶっちゃけできないことは無いとすら思いますよね。

個性豊かなタレントを有するANYCOLORだからこそ、演者とスタッフが一体感をもって番組が作れています。この一体感は、正直テレビ番組制作ではほぼないことだと思います。

ーーAPさんはいかがでしょうか?

AP:
思い出に残っているのは、入社直後の現場見学です。

入社してすぐ、『ゲームる?ゲームる!』の現場を見学しに行きまして、その時は不破湊さんがスプラトゥーン2をプレイする回でした。


その回の収録が終わり、不破湊さんがスタジオを出る時、次の収録に向けて待機している他のライバーに対して「楽しかったね〜!また遊ぼうね、ばいばい〜」と挨拶していたんです。

テレビ時代に接したタレントさんって、やっぱり仕事意識が強いというか、それが悪いことってわけではないんですけど、オンオフをハッキリ分けている印象があるんですよ。だからスタジオから退出する時って「ありがとうございました」とか「お疲れ様です」とかが普通なんですよね。

でも、この不破さんの挨拶を見て、「これからはこんなに収録を楽しんでくれている人たちと番組を作れるんだ」と感じられたのは、非常に強く印象に残っています。番組を作る上で、こういう部分を何より大事にしないといけないな、と思う出来事でした。

P:
確かに。もう我々は慣れてしまっていますが、スタッフがライバーに「お疲れ様でした」と声をかけると、「楽しかったです」とか「面白かったです」って返してくれますよね。

仕事の取り組み方として、にじさんじのライバーはそうやって捉えてくれているんだなって思うと、作り手としても安心できます。

ーータレントが社内にいるからこその雰囲気ですね。Dさんはいかがでしょう?

D:
去年のにじさんじフェス2022で、『ゲームる?ゲームる!』のディレクションを行った経験が思い出です。

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会場には大小多くのステージがあったのですが、その中でもメインステージの一部を『ゲームる?ゲームる!』としていただきました。

『ゲームる?ゲームる!』の番組立ち上げから関わっていて、番組自体に対する強い思い入れもありましたし、イベント会場でディレクションをするということ自体初めての経験でしたので、忘れられない記憶です。

その中でも具体的なエピソードとしては、ディレクターとしての心構えが変わった瞬間です。

『ゲームる?ゲームる!』のイベントが終わったあと、観客席からステージの光景を見てみたのですが、「こんなにお客さんが来てくれたんだ」って心から実感できたんです。
普段からYouTubeの再生数などの数字は見ていましたが、リアルでその数を実感できたのは、すごい感動する瞬間でした。

イベントで楽しんでくれているお客さんを見るまでは、当時は今以上にディレクターとしてまだまだ未熟だったので、「事故なくディレクションが進められるように」という思いで仕事をしていました。

ただ、この時、この瞬間から「にじさんじを見てくれる全ての人にもっと笑ってほしい。幸せになってほしい」という、番組そのものの中身のクオリティを強く意識するようになったんです。

ディレクターとして働く上で、モチベーションも非常に上がるような経験でした。


P:
フェスではDさんが不安がっていて申し訳ないという思いがありましたが、企画やコンテンツに対して向かう思いをストレートにぶつけられていたので、いい結果で終われたんだと思っています。

AP:
すみません、今の話を聞いてたらもう一つ私も話したいことが出てきたので話してもいいですか?

ーーここまでで完全に取材時間押していますが大丈夫です!

AP:
巻いてって普段言っているディレクター側がその言葉言われるの新鮮です笑

『ゲームる?ゲームる!』の話なのですが、ある回で『オシャレ魔女 ラブ and ベリー』の筐体を借りてプレイする収録をしました。


この企画は、魔使マオさんが『オシャレ魔女 ラブ and ベリー』が好きだという話をDさんがキャッチして企画化してくれたんです。
既にムシキングで収録実績がありましたので、版権元に調整をしてもらって実現できました。

結果的にその回はすごくいい収録になったと思います。

理由としては、魔使マオさんはじめ『オシャレ魔女 ラブ and ベリー』が好きというライバーだけをアサインしたので、ゲームそのものに対する熱量が大きかったからだと考えています。

これカットされるかもしれませんが、収録が終わってゲームの筐体を返却する際、魔使マオさんが「離れるのが寂しいから」と言ってずっと筐体の前にいたのも覚えています笑

でも、こういうライバーの心からの思いが、番組を通じてリスナーにも響くのではないかなと思います。

ーーみなさん思い思いのエピソードをありがとうございました。では、これからはどのような番組を作っていきたいですか?

P:
本腰を入れて作っていきたいと思っているのは、「バーチャルだから」「VTuberだから」という色眼鏡なしで面白いと思ってもらえる番組を作りたいです。

ライバー個人の生配信は基本的にそのライバーに興味を持っている人しか視聴しませんが、我々ディレクターが番組という形でコンテンツを展開しているからこそ、より幅広いリスナーに興味を持ってもらえる可能性があると考えています。

もっともっとVTuberを一般的な存在として認知してもらえるような番組を作っていきたいです。

AP:
私も同じく、VTuberに慣れていない人が見て面白いと思ってもらえるような番組を作りたいです。

公式番組って、想定外の体験が得られる場だと思っているんです。

番組には興味のあるライバーもいれば、興味をまだ持っていないライバーも出ているはず。その人がまだ知らないライバーを知る機会として、公式番組が最も価値ある存在になれると思っています。

だからこそ、昔の私のように「VTuberってなんなんだ?」と思っているような人が見て、見やすい番組かどうかという観点は非常に大切だと思います。

あと、想定外っていう意味で言えばライバーにとっても同じです。

番組に呼ばれて同じ時間を共有したことで、今まで関わりのなかったライバー同士がコラボ配信をし始めたり、番組で経験した新しいことを取り入れて配信をするようになったりと、ある種のきっかけになれるのが公式番組の良さだと考えています。「にじヌ→ン」のメンバーでコラボしてくれているのとか見ると、我々としても嬉しいですよね。

このようないいサイクルが回り続けるように、これからも番組作りを頑張っていきたいですね。

P:
たしかに。普段はコラボであれば双方の合意があって初めて成り立つものですが、番組で言えば我々が勝手にアサインして強制コラボみたいにしているので、ANYCOLORでも稀有な存在ですよね。

 ーーにじさんじの全ライバーと知っていないと適切なアサインができないと思いますし、視野の広さが求められる仕事ですね

P:
そうですね。ライバーの活動を日頃からチェックしておき、「この人はこういう人なんだ!じゃあこんな企画をやったらよさそう!」というアンテナを常に張っておく必要があります。

全員四番打者。「これは面白い」を心から追求するディレクター集団

ーー制作ディレクターチームが所属しているYouTube戦略部とは、どういったことをしている部署なのでしょうか?

P:
文字通りではありますが、YouTube戦略部はYouTubeでにじさんじの展開をどうしていくかを考える部署です。

細かく分けると3つのチームがあって、1つ目がMVやPV、公式切り抜き動画を作っている編集のプロ集団である映像制作のチーム。

2つ目が全ライバーのYouTube上の数値を分析し、企画や方向性の示唆出しを行う運用のチーム。

3つ目が我々の制作ディレクターチームです。公式番組やにじさんじ甲子園などの特番のディレクションを行ったり、にじさんじフェスといったイベントで演出に関わったりしています。

ーー制作ディレクターとして、にじさんじの番組はどのように作っていっているのでしょうか?

P:
ANYCOLORから「こういうことをやりたい」というざっくりとしたお題をもらい、ディレクターが企画出しからライバーアサイン、収録準備から編集まで行います。

また、完パケしたらYouTubeにアップロードするのもディレクターの仕事です。このように、分業制度ではありつつも基本的にディレクターが裁量を持ち、番組が生まれてから世にでるまでの全てに責任を持ってもらっています。

特にANYCOLORのディレクター業は業務幅が広く、番組のレギュラーを誰にするかも立案できます。言葉はアレですが、にじさんじのライバーを活かし、自分の企画を実現できるのが楽しい仕事だと思います。

 ーーチーム一丸となって取り組むプロジェクトなどはあるのでしょうか?

P:
通常番組では、基本的に各番組の関係者としかやり取りをしませんが、『にじヌ→ン』や『にじさんじフェス』といった特番、イベントでは全てのディレクターが稼働する総力戦になります。

ただ、だからといって通常番組でディレクターが孤立するということはなく、企画出しや専門知識が必要になったタイミングでは自然に手を取り合っているので、結果的に一つの番組にチーム全員で取り組んでいるという風土になっていると思います。

AP:
いいチーム感がありますよね。常にチーム全員で一つの番組を作っているということではありませんが、横の繋がりがとんでもなく強いと感じます。

P:
全員四番打者みたいなディレクター達ですし、助け合いの精神が蔓延しているので、仕事が分からなくて詰まってしまうということはまずありません。

これは私の指導というより、単純にチームメンバー1人ひとりの人柄によるものだと思います。

AP:
「自分の担当番組じゃないから〜」みたいに思う人は見たことありませんね。

D:
「なんか面白いことない〜?」という言葉から、突然ネタ出し会議が始まることもありますよね。

P:
ここは皆で協力して。とかではなく、常に全員が支え合っている点がチームとして良いポイントだと思います。

ーーにじさんじの番組の面白さは、どういったところから来ているのでしょうか?

P:
全てのディレクターが、これは面白いと思っているものを真っ向から作りに行っているからこそ、リスナーの方に評価いただいているのだと思います。

「VTuberだったらこれが正解だよね」とか、「バラエティならこれくらいで合格点でしょ」といった妥協をすることはなく、「このライバーが、こういうことをするから面白い」という圧倒的な意思や姿勢が番組の品質に影響していると考えています。

ニュアンスが難しいのですが、「VTuberを活かそう」としているのではなく、「にじさんじの○○さんというライバーの持ち味を活かそう」というディレクターの意思が面白さに繋がっているのかなと。

AP:
ディレクター目線でいうと、できないこと以上にできることが多いからこそ、にじさんじの番組の面白さがあるのだと思います。

例えば、ライバーがおにぎりを食べたり物を持った時、バーチャルの世界と現実がリンクしきらないこともありますが、「そこに存在しているぞ!」を伝える表現方法は無限にあります。

さっきのPさんの話で『木10!ろふまお塾』の無人島の話がありましたが、「こんな映像を見せられるんだ」という瞬間はいくらでも作ることが可能です。

できないことをできるように見せるという発想の転換があるからこそ、普段頭では考えられないようなとんでもない映像に着地できる部分に面白みが見出せるんだと思います。

D:
ディレクターチームには様々なバックグラウンドを持った人がいますので、そういったスタッフの層の厚みも番組の面白さに繋がっていると考えています。

APさんであれば歌謡番組に関わっていましたが、他にも有名な某外ロケのディレクターを経験していた人や、真面目なドキュメンタリー番組を制作していた人もいます。

ディレクターの経験ジャンルが幅広いからこそ、にじさんじでは良い意味でのくだらない面白さのある番組だけでなく、感動する番組もあれば、音楽特番もあり、リスナーにいろんなコンテンツを提供できているんだと思います。

企画力・発想力・推進力。この3つの力があれば作りたいものは絶対作れる

ーーテレビ番組のディレクターは激務で中々寝れないなんて話も聞きますが、ANYCOLORの制作ディレクターチームの働く環境ってぶっちゃけどうなんでしょうか?

P:
APさんとDさんには怒られてしまうかもしれませんが、社会人になってから今が一番寝れてます笑

当然、夏休みや年末などのイベントや特番が重なる時は繁忙期になりますが、現在はスキルのあるディレクターが増えてきているので、働く時間のコントロールはできてきています。

世の番組制作という観点でいうと、かなり融通の効く職場環境だと思います。ただ、正直なことを言うと、どうしても毎日定時※で帰るという働き方は難しいです。
※2023年11月現在 コアタイム11:00〜17:00 実働8h

裁量権は大きいので、自分の判断で今日は早帰りするなどのコントロールをする力もディレクターには求められますかね。

AP:
私も前職と比べると心身ともに健康に働けていると感じます。会社自体がフレックス制なので、一定の働きやすさはあると思います。

ただ、Pさんが言っていたように、繁忙期は忙しいです。だからこそ、制作ディレクターチームでは一緒に働く仲間を募集しています。人が増えればもっといろいろなことができますしね!

D:
良い意味で自己責任な職場環境だと思います。この日は早めに終わろうとか、稼働が多ければ他の人に業務の一部をお願いするなど、裁量権の大きさの恩恵は受けられています。

あと、今回のインタビュイーの中で最も若手なので説得力があると思うんですけど、休みは基本的に希望通り取れます。タスク調整も上司が前のめりに相談に乗ってくれて助かっています。

ーーANYCOLORの制作ディレクターチームで働くには、どのような能力が求められるのでしょうか?

P:
スキルとしてはテレビ番組制作の実働経験ですね。マインドして求めたいのは、企画力と発想力と推進力の3点です。

詳しく言うと、企画力であれば「面白いことをやるぞ!というマインドとそれを言語化する姿勢」。
発想力であれば「考えた企画に無理があることもあるので、どうやってそれを実現させるかという姿勢」。
推進力であれば「やりたいと思っていることを何がなんでもやるんだというアクセルベタ踏みの姿勢」になります。

あと、我々の部署って社内の他の全部署とライバーに助けてもらいながら仕事していると思っています。ディレクターが面白いと思ったことに付き合ってもらっているというスタンスは、働く上で実は最も大切だったりします。

そういった謙虚さがあるようなAPさんやDさんだからこそ、ライバー含む社内外のあらゆる人が番組制作に協力してくれているんだと思います。本当に人柄の良い人が多いです。

AP:
Pさんに完全同意です。

その他の観点で、スキルならディレクター業務であれば実写であっても企画であっても、なんらかのディレクション経験は絶対に活かせます。あとはYouTubeの運営周りの知識も存分に活かしていただけると思います。

求めたい姿勢で言うと、正直VTuberやにじさんじの知識は不要です。私も最初はそうだったので。
どちらかと言うと、にじさんじでまだやっていないコンテンツや、見たことのない景色を見つけるようなスタンスのある方だと嬉しいです。

D:
コミュニケーション力とモチベーションだと思います。

大きい組織でずっとやっているとかいう会社ではありませんので、「これやってみたい人いる?」と聞かれた時に、迷わず手を挙げられる人なら、きっと伸び伸びと働けると思いますよ。

ーーインタビューを通じて、非常に魅力的な仕事とメンバーだと思いました。それでは最後に、制作ディレクターチームに応募を迷っている人に一言メッセージをお願いします

P:
やる気があればあなたの作りたいものは絶対に形にできます!絶対に。プロデューサーの私が保証します。

AP:
個人的な意見ですが、テレビ業界より楽しいです。

あと、自分が若手だと思ってANYCOLORに入社したら、おじさん扱いされるなんていうギャップを感じるかもしれないのでそこだけご注意ください笑

D:
若い方も大歓迎です!ぜひ一緒にいい番組を作っていきましょう!

ーー終始笑いの絶えないインタビューの中に、ディレクターとして持つ面白さの極地への信念を感じざるを得なかった。

今でこそリスナーに笑顔を届けているにじさんじの番組であるが、それはこうした熱い思いを持つ制作ディレクターたちがいるからこそなのであろう。

そんな制作ディレクターチームでは、にじさんじ番組の更なる発展のために求人を積極募集している。

作りたい番組が、なんらかのしがらみで作れておらずモヤモヤを感じている方は、ぜひこの機会にANYCOLORの制作ディレクターチームに応募をしてみてほしい。

ちなみに、インタビューの最後に各ディレクターの口から揃って出てきた言葉は、「今日撮れ高どうでしたか?」だった。

※情報は取材当時のものです
※取材・執筆:中嶋駿弥

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